外壁や鉄部の塗装工事というと、多くの方が思い浮かべるのは「ローラーや刷毛での塗装」ではないでしょうか。
しかし、実は塗装そのものよりも重要な工程があるのをご存じですか?
それが「ケレン作業」と呼ばれる、塗装前の下地処理です。
本記事では、ケレン作業がなぜ大切なのか、そしてどのような効果があるのかを、写真と共に詳しくご紹介いたします。
ケレン作業とは?
ケレン作業とは、鉄部やコンクリートなどの下地に付着した サビ・汚れ・古い塗膜 をしっかり削り落とし、塗装面を整える作業のことです。
専用の道具やサンドペーパー、ワイヤーブラシ、電動工具を用いて行うこともあります。
ポイントは、見えない部分のひと手間が最終的な仕上がりや耐久性に大きく影響するという点です。
「ただ塗るだけ」で仕上げてしまうと、一見きれいに見えても数年で剥がれや膨れが発生してしまいます。
ケレン作業が必要な理由
1. 塗料の密着性を高める
下地がサビや汚れで覆われていると、どんなに良い塗料を使っても密着力が落ちてしまいます。
ケレン作業によって表面を適度に荒らし、塗料がしっかりと食い込むように整えることで、塗膜が長持ちするのです。
2. サビの再発を防ぐ
鉄部の塗装で最も多い劣化トラブルは「サビの再発」。
サビを完全に落とさずに上から塗装しても、すぐに内部から広がってきてしまいます。
ケレン作業でしっかり除去することが、サビ止め効果を最大限に発揮させる第一歩です。
3. 見た目の美しさを保つ
下地が凸凹のまま塗装をすると、仕上がりもムラだらけになってしまいます。
ケレン作業を丁寧に行うことで、仕上がりの美しさが格段に変わります。
ケレン作業の種類
ケレン作業には、対象部位や状態に応じていくつかの方法があります。
- 1種ケレン(ブラスト処理)
大規模工事などで行う、最も強力な下地処理。金属表面を完全に露出させます。 - 2種ケレン(動力工具使用)
ディスクサンダーなどの機械を用いて、サビや旧塗膜を削り落とします。 - 3種ケレン(手工具使用)
ワイヤーブラシや皮スキなどを使い、比較的軽度のサビや汚れを落とします。 - 4種ケレン(清掃程度)
目立たない部分や軽微な汚れに対して行う、簡易的な清掃。
今回の施工写真は、手作業による 3種ケレン の様子です。
職人の手で地道に磨き上げることで、細かな部分まで徹底的に処理ができています。
ケレン作業を怠った場合のリスク
ケレン作業を省いてしまうと、以下のようなトラブルが起こりやすくなります。
- 数年以内に塗膜が剥がれる
- サビが再発し、鉄部の腐食が進む
- 美観が損なわれ、建物全体の印象が悪くなる
- 最悪の場合、鉄部が腐食で穴あきや破損を起こす
つまり、ケレン作業は「見えないけれど最も大切な作業」なのです。
職人のこだわりが光る工程
ケレン作業は、塗装のように目に見える派手な工程ではありません。
しかし、職人の経験や丁寧さがそのまま結果に反映される重要な工程です。
手を抜けば簡単に終わりますが、その代償は「数年後の劣化」としてお客様に返ってきてしまいます。
だからこそ、私たちは見えない部分こそ誠実に、手間を惜しまず取り組んでいます。
まとめ
塗装工事で美しい仕上がりと長い耐久性を実現するためには、ケレン作業が不可欠です。
「ただ塗るだけ」では決して守れない住まいの寿命を、下地処理がしっかりと支えているのです。
もし外壁や鉄部の塗装をお考えの方は、ぜひ施工内容に「ケレン作業」が含まれているかを確認してみてください。
見えないひと手間こそが、建物の美観と耐久性を守る大切なポイントです。