「養生(ようじょう)」とは、塗装作業に入る前に塗ってはいけない場所や周辺環境を保護するための作業を指します。養生を的確に行うことで、塗料の飛散やはみ出しによるトラブルを防ぎ、美しい仕上がりと近隣への配慮の両立が可能になります。
特に外壁塗装やリフォーム工事では、建物だけでなく車、植栽、窓、玄関、エアコン室外機など、塗装の対象外となる箇所が数多くあります。これらを守るのが養生の役割です。
養生で使用される主な資材
養生に使う道具や資材には、目的ごとにさまざまな種類があります。
- 養生テープ:粘着力が弱く、剥がしても跡が残りにくいテープ。マスキングに使用。
- マスカー(マスキングシート):テープとビニールが一体になった資材で、広い面を素早くカバー。
- ブルーシート:地面や庭の植栽を保護。
- 養生ボード/プラダン:床面や重機が触れる場所の保護。
- 布粘着テープ/ガムテープ:長時間の固定に適した強力タイプ。
養生の作業工程
- 対象物の確認
塗料が付着しては困る箇所を事前にすべて洗い出す。 - 清掃と乾燥
粘着が効くように、対象面の汚れや水気を除去。 - テープ貼り・シート設置
塗り分け境界やカバーが必要な箇所を丁寧にマスキング。 - 最終確認
塗料が飛散しやすい風向きや高所も再確認しておく。 - 塗装完了後に撤去
テープは塗料が完全に乾く前にゆっくり剥がすことで、きれいなラインが出せる。
養生を怠るとどうなる?
養生が不十分だと、以下のような問題が起こる可能性があります。
- 外壁以外の箇所に塗料が飛び散り、清掃・修復が必要に
- 車や窓に塗料がかかり、クレームや損害賠償に発展
- 美観を損ね、仕上がりの品質が著しく低下
- 作業のやり直しが発生し、時間とコストの浪費につながる
養生は「丁寧さ」が命
養生は単なる下準備ではなく、施工全体の品質を左右する非常に重要な工程です。職人の丁寧さや配慮がそのまま表れる作業であり、雑な養生は、どれだけ優れた塗料や技術を使っても台無しにしてしまいます。
熟練した職人ほど、養生に時間をかけ、細部まで注意を払います。それが後の作業の効率化と、顧客満足度の向上につながるのです。