Introduction
外壁塗装や屋根塗装の工事で、見落とされがちだけれど非常に重要な作業工程――それが「養生(ようじょう)」です。養生と聞くと、ケガをしたときの「安静にすること」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、塗装工事における養生はまったく別の意味を持ちます。
実は、塗料の仕上がりや建物全体の美観を左右する非常に重要な工程です。本記事では、養生とは何か、なぜ必要なのか、具体的な方法、使われる材料、そして養生がきちんとされているかどうかのチェックポイントまで、詳しくご紹介します。
養生とは?その目的と意味
養生の定義
塗装工事における「養生」とは、塗装しない部分や周辺環境を塗料の飛散や付着から保護するために、シートやテープで覆う作業のことです。これにより、窓や植木、車、床などを汚すことなく、仕上がりが美しく、トラブルのない塗装工事が実現されます。
養生の具体的な対象と範囲
養生は塗装対象のまわりすべてに関係します。以下のような部分に適用されます。
1. 窓・サッシ
塗料の飛散や風での吹き込みを防ぐため、ビニールシートやマスキングテープでしっかりと封鎖します。
2. ドア・玄関周り
玄関や勝手口などは出入りに影響が出るため、「開閉可能な養生」が求められます。
3. 植栽・花壇
植物に塗料が付着すると枯れてしまう可能性があるため、丁寧にカバーリングします。
4. 車・自転車
敷地内の車両は養生用のカバーや、場合によっては一時的に移動させることもあります。
5. ベランダ・テラス・家具
床面には専用の布や養生ボードを敷き、塗料の飛び散りを防ぎます。
養生が不十分だとどうなる?
1. 塗料の付着による損害
養生が不十分だと、ガラス、植木、外構、車などに塗料が付着し、補償トラブルに発展することがあります。
2. 美観の損失
塗装面と塗装しない部分の境界線がぼやけたり、にじんだような仕上がりになるため、美しさが損なわれます。
3. 塗装のやり直しが発生
場合によっては塗装のやり直しが必要となり、工期の遅延や追加コストが発生します。
養生は職人の腕が試される工程
養生は単なる下準備ではありません。以下のような点で職人の技術力や丁寧さが問われる工程でもあります。
- 直線の美しさ(マスキングの貼り方で差が出る)
- テープの粘着加減(剥がす際に素材を傷めないよう配慮)
- 開閉部の処理(使い勝手を損なわない工夫)
- 風対策(風で養生がはがれないように工夫する)
プロの現場では「養生でその職人の質がわかる」と言われるほど、養生は塗装品質のベースとなる作業なのです。
施主が確認すべき養生チェックポイント
工事中に以下の点を確認しておくと安心です。
- 窓や玄関まわりがしっかり覆われているか
- 使用するドアに出入り可能な養生がされているか
- 車や植栽に適切な保護がされているか
- 雨の日でもめくれないように固定されているか
- 養生の貼り跡が残らないか(テープの選定)
工事前に職人さんから「養生の内容について説明があるか」も、信頼できる業者を見極めるポイントになります。
まとめ:養生が丁寧だと塗装の完成度も高くなる
塗装工事の品質は、見えない部分の配慮と丁寧さによって決まります。その代表例が「養生」です。
適切な養生が行われることで、建物の見た目は美しく仕上がり、塗料の無駄な飛散や汚れによるトラブルも防げます。また、工事完了後に元の状態にスムーズに戻すためにも、計画的で緻密な養生作業が欠かせません。
業者選びの際には「養生をどのように行うか」を聞いてみてください。その対応で、施工への姿勢がわかるはずです。