外壁やサイディングのつなぎ目、窓のまわり、屋根の接合部など、建物のいたるところに使われている「コーキング材(シーリング材)」。
これらは建物の防水性や気密性を保ち、雨水の侵入や劣化を防ぐ大切な役割を担っています。ところが、経年とともに必ず劣化が進み、ひび割れや剥がれが起こるのは避けられません。
本記事では、なぜ古いコーキング材の撤去が欠かせないのか、そしてプロの職人がどのような手順とこだわりを持って施工しているのかを詳しく解説します。
コーキング材が劣化するとどうなる?
コーキング材は紫外線・雨・風・温度変化といった厳しい環境に日々さらされています。新築時には柔らかさと弾力を持ち、建物の揺れや収縮に追従してひび割れを防いでいますが、10年前後で以下のような症状が出やすくなります。
- 表面が硬化してひび割れが入る
- 伸縮性が失われ、建材の動きに追従できなくなる
- コーキング材が痩せて隙間が生じる
- 剥がれ落ち、雨水の通り道ができる
この状態を放置すると、雨水が外壁の内部に入り込み、木材の腐食・断熱材の劣化・カビの発生・最悪の場合は構造体の損傷につながる恐れがあります。見えない場所で劣化が進むため、気づいたときには大規模修繕が必要になるケースも少なくありません。
「打ち増し」と「打ち替え」の違い
コーキング工事には大きく分けて「打ち増し」と「打ち替え」があります。
- 打ち増し … 古いコーキング材の上に新しいものを重ねて充填する方法
- 打ち替え … 古いコーキング材をすべて撤去し、新しいものに入れ替える方法
一見すると「打ち増し」は簡単で費用も抑えられるように思えますが、古い劣化材の上に充填したコーキングは密着が弱く、早期に剥がれたりひび割れが再発することが多いです。
耐久性を本当に確保したいのであれば「打ち替え」が鉄則。だからこそ、まずは古いコーキング材をしっかり撤去する作業が最重要なのです。
プロの撤去作業の流れ
古いコーキング材の撤去は、単純に「カッターで切って取るだけ」ではありません。職人は以下のような流れで、細部まで手を抜かず作業を進めます。
- カッターで切り込みを入れる
劣化材の両端に沿ってカッターを入れ、外壁材を傷つけないよう慎重に切り込みます。 - 古いコーキング材を引き剥がす
切れ目から丁寧に引き剥がし、残りカスが出ないように注意。ここで雑に剥がすと、仕上がりや密着性に悪影響が出ます。 - 細部の清掃
隙間に残った細かな破片や汚れを取り除きます。密着を妨げる要因をゼロにすることが重要です。 - プライマー塗布
新しいコーキング材を長持ちさせるため、下地とコーキング材をしっかり密着させる専用の接着剤を塗布。ここを怠ると、せっかく新材を入れても早期に剥がれます。 - 新しいコーキング材を充填
適量を均一に打ち込み、専用ヘラで押さえてならし、美しい仕上がりに整えます。
見えない部分こそ丁寧に
コーキング工事で最も大切なのは「見えない部分をどれだけ丁寧に仕上げられるか」です。完成した外観だけを見れば違いは分かりません。しかし、下地処理や撤去作業の質によって耐久性は大きく変わります。
私たちプロは、「見えないから手を抜く」のではなく「見えない部分ほど手をかける」のが信念です。特に撤去作業は時間も手間もかかりますが、ここを徹底することでお客様の家が10年先も安心して暮らせる状態になります。
コーキング劣化を見逃さないために
「まだ大丈夫だろう」と思っていても、実際には劣化が進行していることが多いのがコーキングです。特に以下のような症状が見られたら、早めの点検・補修をおすすめします。
- 表面にひびが入っている
- コーキングが痩せて隙間ができている
- 指で触るとボロボロ崩れる
- 外壁材との間に浮きや剥がれがある
定期的なメンテナンスサイクルは 新築から7〜10年ごと が目安です。大規模リフォームになる前に、早めの対応を心がけましょう。
まとめ
古いコーキング材を撤去することは、見た目以上に大切な作業です。
- 劣化したまま放置すると雨漏りや建物内部の損傷につながる
- 「打ち替え」こそが長持ちさせる秘訣
- 見えない下地処理や撤去こそ職人の腕の見せどころ
小さな隙間が、住まい全体の寿命を左右します。だからこそ、専門の知識と技術を持つプロに任せることが安心につながります。
「最近ひび割れが気になる」「外壁のつなぎ目が痩せているように見える」など、少しでも不安を感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。